高校生の頃、私の家では黒猫を飼ってました。

気まぐれで基本的には寄りつかない割に、エサの時だけ頭をすり寄せてくる子でした。

エサを食べ終わり満足すれば、ささっとどこかに行ってしまうし、遊ぼうと思って近づいても嫌がってどっかに行ってしまう。

でも時々気まぐれにそばに寄ってくることがあって。その時は私も頭をなでたり、喉をなでたりして遊んであげてました。いえ、遊んでもらってたと言った方が正しいかもしれませんね。

喉をごろごろと鳴らしていましたから、本当に喜んでたんだと思うんですね。でも、翌日にはこっちが近くに寄っていってもプイとあっちに行ってしまう。

都会の大人のような、そんな人づきあいってもしかしてこんなものかなぁと思ったものでした。

高校を卒業して私は就職しました。

都会に出たくて、東京の寮付きの会社に就職したのです。

だから猫ともお別れ。きっと彼は(オスだったのです)私のことなどいなくなってもへいちゃらなんだろうなと思ってました。

働き始めてしばらくたって。ゴールデンウィークに実家に帰った時でした。

家族は全員留守で、自分の鍵で家を開けて玄関に入ると、猫が玄関にとことこやって来るところでした。

母が帰ったと思ってエサをねだりにやってきたのかな? 

と思ったのだけど、それが私だったばっかりに、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして私を見てました。

そしてゴロゴロと喉を鳴らしながら仰向きになったんです。私にお腹を触れと、遊ぼうと言ってくれてるんです。

猫はすぐに忘れるとか、そんな話を聞いたことがありましたけど、実家の猫はきちんと私のことを覚えてくれてたんだと、なんかジンとしたんですよね。

その時に会ったのが最後で、残念ながらもう会うことが出来なくなったけれど。

本当に家族の一員だったんだなって今でもその時のことを時々思い出して、ほっこりするんです。